給食(小学生時代)

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給食(小学生時代)

 今でも思い出す光景がある。  小学六年生のとき、それは給食の時間に起きた。  その日のメニューは白米になんらかの汁物、なんらかの野菜、なんらかの主菜に牛乳だった。何が言いたいかというと、あんまり覚えていないということだ。とにかく白米と汁物、その他もろもろがあったと思ってもらえれば良い。  我が校ではランチョンマットを家から持参し、それを机に敷いてその上に食器を置くことになっていた。  例によってランチョンマットを敷き、給食当番が配膳してくれるのを待っていた(某有名アニメでは食器を持って列になり、順々に入れていくシステムをとっているが、私たちのところは給食当番が一つ一つ机に置いていくファミレスシステムだった)。  そのとき、前に座っていたそんなに仲良くない子が「テーブルクロス引きやる」と言い出した。  五人ぐらいのグループで机を寄せ合って食べるのだが、今彼の目の前にいるのは私だけ。どう考えても私に向けられたパフォーマンスであった。  返事もせず死んだ魚のような目で見ていると、その子は速くもない手捌きでランチョンマットを引き、案の定失敗して、ご飯と汁物をひっくり返した。 「あーあー」  そう呟いたかと思うと、先生に自ら報告しに行き、新しい汁物を貰い何もなかったかのように席についた。  ほんの数分の出来事だった。  何かと言いたいことはある。  なぜいきなりテーブルクロス引きを始めたのか。  なぜ高速でテーブルクロスを引かず、ぬるっといったのか。  そもそも、なぜ私に披露した。  今にして思えばそんなに仲良くなかったけど、ちゃんとリアクションを取ればよかったなあとちょっとだけ反省している。
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