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飲みすぎた3人は子どもの頃と同じように布団を並べて、孝彦おじさんを真ん中にして眠った。
翌朝、順一おじさんと母は遺骨をはさんで縁側に座っていた。
「孝彦は遠くへ行ったのか……」
順一おじさんが空に向かって呟いていた。
「次はアニキか私、どっちが逝くかなぁ」
母ものほほんと空に呟く。
「また、家族になれるかね」
「それは来世のお楽しみ」
3人兄弟は、戦後から高度成長期の目まぐるしい時代を、右往左往しながら生きたと母からよく聞かされていた。年老いた兄弟たちは、年とともに苦しかった過去は開けない箱に閉じ込めて、純粋な優しい思い出を糧に生きているのだろう。
秋晴れの空に、やんちゃな兄弟たちのはしゃぐ声がずっと響いている気がした。
【完】
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