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よくよく考えてみれば、つきあって半年にして、初めて彼女が本音をさらけ出した日だったのだろう。大学のサークルが一緒で、それも合わせると、もう七年のつきあいになっていたのに。
一目惚れしてからようやく想いが届いたと思ったら、終わりなんてあっけなく。たまたま彼女の失恋した時期に乗っかったに過ぎなくて。もちろん、それは承知していたし、今ならとの打算めいたものもがあったのは確かで。でも、想いに偽りはなくて。
まあ、僕の一方的な想いなんてものは、本命と元サヤに戻ると決めた彼女にとっては、これからやってくる冬の重苦しい鉛色の空ほどに鬱陶しかったことだろう。
ただ、まさか戻る先があなただったとはね。
あなたはサークルの良き先輩だった。面倒見が良くて気さくで、しかも人目を引くほどにお綺麗さんだ。そんなあなたに彼女はとてもなついていた。
僕達三人は妙に気が合ったせいか、端から見ても仲が良かっと思ったのだけれど、ついぞ気づかずにきたのは、知った事実に後から言葉を上塗りしても、所詮はのろまな男の戯れ言でしかない。結局、彼女のこともあなたのことも上っ面しか知らなかった。知った気になっていた怠惰を嘆くばかりだ。
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