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あっという間だった。
主である少女があっという間に捕らわれて、でもあの方はそれに抗って、あの方自身にとっても苦渋の決断をなさった。
させてしまった。
友人は恐ろしいほどの冷静さで無茶をし始めて、たった一人で遠くに行ってしまった主を追う方法を探しだした。
あまりの無茶苦茶ぶりに止めたい気持ちは山々だが、あいつの、あの方を想う気持ちを嫌になるほど承知している分、口に出して止める事はできずに、それどころか協力するしかできない。
突破口が見つかれば、あいつはきっとそれを実行するだろう。
それがどれほど無茶な事だろうと、どれほど遠くであろうと。
俺達が止めようと、親が泣こうと、我らが造物主である方々が諫めようと、あいつはきっと止まらない。
諦めない。
それならば今、できうる限り手を貸そう。
そうしてあの方を追って、俺達の手が届かないほど遠くの地まで追いかけて、頑張り屋で寂しがりなあの方を支えてくれ。
かの地に踏み込めば、俺達は直接的な干渉は一切できなくなる。
本当に見守る事しかできなくなる。それはきっととんでもなく、気が狂いそうなほどもどかしくて辛いだろう。
それでもあいつがあの方と共に、同じ地に並んで立っている姿がもう一度見られるなら、きっと泣きたくなるほどに懐かしい気持ちになれるだろう。
だから、行ってこい。
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