Sound 2-1

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「……あまり時間が無い状況って、そのことだったんだ」  そしてぽつりと、能鷹くんが呟いた。 僅かに窺えた表情が、安堵の色をしていたのは気のせいだろうか。 「……実は僕、入部するか否かを決めずに来てて」 「え、そうなの?」  思わずぽかんとしてしまう。 同時に、彼がとも考えられることに気付いた。 とすれば、私はなんて早とちりにべらべらと喋りすぎたのだ。 私は恥ずかしくなって顔を俯かせた。 「……因みに、放送部が生徒会に吸収されたらどうなるの」 「え、あ、そうだね……活動内容を決める権限が生徒会に委託されるから、放送部は生徒会の元請け人になるの。 そうなると、生徒会の指示無しに私は自由な活動が出来なくなるんだ」 「……それは、嫌なんだ?」 「嫌だよ」私は即答だった。 「だってそんなの、放送部の肩書きを持ってるだけじゃない。 それはもはや『放送部』じゃなくて、『生徒会の放送役員』だよ。 私はね『放送部』としての自分を大切にしたいの」 「……でも、どうするの。 半年後には生徒会に吸収されるわけだけど」 「だからこその君じゃないかっ!」  私は目を輝かせ、勢い良く席を立ち上がった。 能鷹くんはびくりと肩を震わせ、自分を指差して首を傾げる。 「さっき、全てが報われるかもしれないと言ったよね」 「……はぁ」 「私は来る最後の日まで、放送部としての活動を全うするんだ。 しかしそこに君の力も加えたいんだ。 何度も言うが君の声は例えようの無いほどに素晴らしい。 そんな君の声で放送を行えば、学校中の女子を虜に出来るだろう」 「……それがどう報われるのかが……」 「生徒会は勿論君の声を知ることになる。 同時に、生徒の反応も知ることになる。 仮にも大反響だったとしよう。生徒会が我々の活動に制限を設けた時、生徒は何て思うだろうか?」  能鷹くんは首を傾げたまま動かない。 ハシビロコウだなと思いつつ、私は話を続けた。
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