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「つまり、放送部の私にその音を担当しろ、と?」
「話が早くて助かるわ。 そういうこと」
「だけどお化け屋敷に合う音なんてあったかな。 パソコンの標準サウンドって味気ないような気もするし……。 かといって自作するのも私じゃ無理だよ?」
「天音、あたしが言いたいのは別のことだよ。 サウンドはサウンドでも、BGMじゃないの。 あ、でも、あれも一種のBGMなのかな」
「ん、どういうこと?」
なんとなく分かった気がすることを口にするも否定され、私は首を傾げた。 放送部は放送部でも、求められることが別物というのは一体……。
首を傾げたままの私に、アオイは肩を竦めた。
「彼よ、彼。 例の彼に、協力してもらうの」
「えっと……つまり?」
尚更に困惑していると、アオイは私の両肩に手を置いた。 彼女の潤んだ双眸には、教室の電灯とはまた違う輝きが存在しているようだった。
「彼に、お経を読んでもらうの!」
「お、お経?」
「そう! 彼の声で朗々と読経してもらえば、きっと恐怖心の加味になること間違い無いよ。 ね、どうかな」
なるほどたしかに、その案は良いかもしれない。
お化け屋敷のリアリティが増すどころか、能鷹くんの活動範囲を広げられるなら一石二鳥だ。
私は数秒考えたのち、アオイの提案に首を縦に振った。
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