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さて、委員長の打診で文化祭があることを深く印象付けられたわけだけど、なんとなくこれで終わりではないような気がした。 遠ざけていた文化祭という青春の塊が、僕に深く絡んで来るとも言えようか。
端的に言ってしまえば、僕が担わされる仕事はまだ存在しているのだ、と。
もちろんこれは予感なだけであって、正確性は無い。 外れることの方が大半だろうといつものように放送室に顔を出した僕は、アマネさんの言葉で覆されることになった。
「能鷹くんに、お経を読んでもらいたいの」
藪から棒で僕の思考が一瞬だけ止まった。
否、ファーストインプレッションで答えを導き出せる方が、凄まじ頭の切れる人間だ。 顔面にストレートパンチを食らったような僕が、アマネさんが何を言いたいのか考えあぐねていると、
「来月の文化祭で、私たちはお化け屋敷をすることになったんだ」
「……お化け、屋敷」
「そこでね、雰囲気作りには朗々と読まれるお経があった方が良いって、友達が言ってて」
即ち。
「……つまり、僕はその雰囲気に一役買う、と」
「正解」
やはり予感は当たるものなのか。
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