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奥さんに抱いていた罪悪感は彼から奥さんの愚痴を聞くたびに薄れていった。
「もっと早くこうなっていたら」
「嫁とするのが辛い」
彼は常々そう言っていた。
それは私を繋ぎ止める為の嘘なのか、本心だったのか、彼にしかわからないけれど。
「たらればの話はやめようよ」
私はそんな時、そう返すしかなかった。
彼の言葉をまともに受け止めたらバカを見ると冷静に考えていたつもりだったけれど。
今思えば言われる毎に彼が離婚するかもしれないといつしか期待するようになっていたのかもしれない。
そして、8ヶ月前
「あ、そうだ、嫁がやっと妊娠したよ!
これからは嫁とやらなくていいんだ」
週1度の彼との密会。
私と体を重ねた後で、彼は嬉しそうにそう言った。
まるで、私もそれを望んでいたでしょ?という雰囲気で。
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