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発射(はっしゃ)のベル
プルルルルル
機内では、発射のベルが鳴り出した。
早朝六時までもうすぐ。
もうすぐだ。もうすぐ、約十時間の長い旅がはじまるんだね。
“ご搭乗の皆様、当機はまもなく発射致しますので、座席に着いてシートベルトをしっかりとお締め下さい。”
ぼくにとって、はじめての経験だ。ぼくは急に、怖くなりはじめて、思わず、お父さんお母さん、と叫んでしまった。
すると、ぼくの両隣に座っている若い夫婦が、ぼくのことをなぐさめながら、語りかける。
大丈夫、怖いことなんてないよ。慣れれば電車やバスに乗っているのと同じようなものさ。
男性のほうはそう笑いながら言う。女性のほうは小声でこうささやいた。
そう、それに今は、私たちがあなたのパパママなのよ。私たちが側についているからね、心配ないよ。望ちゃん。
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