ふたりのまなざし

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ふたりのまなざし

 両隣(りょうどなり)二人(ふたり)()ると、まるでほんとうのわが()をながめるかのようなまなざしで、みつめかえしてきた。    どうしたの。    う、ううん。なんでもない、です。    ぼくはすこし()ずかしさを(おぼ)えて、座席(ざせき)のリクライニングをちょっと(たお)し、もたれかかる。    あと九時間(くじかん)くらい、この()まずさをどうしようかと(おも)っていると、ちょうどもたれかかった頭上(ずじょう)立体画面(りったいがめん)がついているのを発見(はっけん)した。    ぼくは座席(ざせき)(もと)位置(いち)まで(もど)して、その立体画面(りったいがめん)()(まえ)までたぐり()せる。そして、それから目的地(もくてきち)案内(あんない)のホログラム映像(えいぞう)()(たの)しんだんだ。    ホログラム映像(えいぞう)でさえ、せまい(はこ)(なか)(そだ)ったぼくにとっては、新鮮(しんせん)世界(せかい)(うつ)っていた。実際(じっさい)のそこは、はたしてどれほどの(おどろ)きと(うつく)しさにあふれていることだろう。
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