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なんだ、ごはんのことだったんだね。
お腹空いたな。朝は、あのときの。
コンビニのお姉さんありがとう。ぼくは早朝胃の中に流したおにぎりとお茶をめぐんでくれた、心やさしきコンビニ店員に心の中で感謝した。
じゃあ鶏肉にしてくださ、鶏肉がいいな、ママ。
機内食を食べ終わるとぼくは、今までの疲れもあってか、いつのまにか深い眠りにへと落ちてしまったんだ。
再び目覚めたときには、こんなアナウンスが流れていた。
“この便は、まもなく、月へと到着する予定です。席をお立ちのお客様は、座席へと戻り、シートベルトをおしめください。月への到着時刻は、現地時間午後三時を予定しております。それでは、最後までごゆっくりとフライトをお楽しみください。”
月への着陸は、思っていたほど怖いものではなかった。それよりも、やはりぼくの知っている世界から完全に抜け出せたという喜びのほうが大きかった。それに、もっと大きな喜びが。
お母さん、お父さん。今、あなたたちの世界へと、やっとたどり着きました。やっと、やっと、出会えるんだ。
あ、でも、二人はどこで働いているんだろう。ぼくは、二人が月のどこかで働いている、という情報しか知らなかったのだ。
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