つきのうらまであとすこし

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 まあいろいろと()になることはあるでしょうけど、(はや)くあなたの両親(りょうしん)()いにいきましょう。    (つき)(うら)宇宙基地(うちゅうきち)へは、モノレールに()れば、すぐに()くわ。    モノレールでつきのおもて(えき)からつきのうら(えき)まで()き、それからすこし(ある)くとすぐに、(おお)きな施設(しせつ)()えてきた。看板(かんばん)()える。うん、ここが(つき)(うら)宇宙基地(うちゅうきち)だ。    そして、基地(きち)()(ぐち)には、()(おぼ)えはないはずなのに、とても(なつ)かしい(かお)りのする人物(じんぶつ)二名(にめい)。    ぼくは、(なみだ)をぬぐいながら、必死(ひっし)笑顔(えがお)()せようとやっきになってしまった。けれども、(なみだ)(あと)から(あと)から()てきてどうしようもない。とうとうあきらめて、(なみだ)(なが)したまんま、二人(ふたり)(ちか)づいていった。よく()れば、二人(ふたり)とも()()()にはらしている。      お(かあ)さんは、ごめんよごめんよと()っては、ぼくのほっぺにやさしくキスをし、お(とう)さんは、よくこんな(とお)いところまで()てくれた、とぼくをほめてはぼくの(あたま)をやさしくさすってくれたんだ。      ぼくたち家族(かぞく)三人(さんにん)はそうやって、(あたら)しい世界(せかい)、つきのうらで号泣(ごうきゅう)しながら(たが)いに(たが)いをいつまでも()()っていた。       おしまい
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