紙飛行機

「ねぇ、母さん」

「なぁに？お兄ちゃん」

「俺、高校卒業したら一人暮らししようと思う」

「清一君がそうしたいなら、そうすると良いよ。私からも生活費とか……」

「今、母さんと話してるんで、木田さんは黙っていてもらえますか？」

俺と母さんの会話に入ってきた木田さんを、冷たく退ける。

「高校卒業して、住み込みで働ける所に就職する予定だから。木田さんの援助もいらない」

「本当にそれでいいの？それがあなたのしたい事？お兄ちゃんには高校の大事な時を台無しにしてしまったから、これからは好きな事をして欲しいのよ」

俺は歯を食いしばる。

高校の楽しい時期を奪われた。

確かに俺もそう思っているけれど、それを母さんに言われると苛立ちを抑えられない。

「それじゃあ、母さんは俺を大学に行かせるためにこの人と再婚するの？そうだよな？お金の為じゃなかったら、こんな年寄りっ……」

俺の言葉は途中で途切れた。

母さんに頬を叩かれ、その先が言えなかった。