紙飛行機

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「来週から面談始めるから、まだ進路希望の紙を提出してない奴は明後日には出せよ。でないと、居残りで書かせるからなー」 ホームルームで担任の佐川がぶっきらぼうに告げた。 クラスメイトの大半はガヤガヤ喋っていて聞いてない。 俺は机に入れっぱなしだった「進路希望記入書」を取り出した。 書く事は「就職」の一択だが、何をして働きたいかなんて思い浮かばない。 高卒で入れる中で稼ぎの良さそうな所。 俺の中にあるのは、それだけだった。 いつも通りに時間は過ぎて、いつもなら放課後ダッシュでバイトに向かうが、今日は日直なので少し残る。 この時間が一番嫌いだ。 「今日カラオケ行かない?」 「いいよー。あ、でも、雑誌の発売日だから本屋寄って良い?」 「木村たちカラオケ行くの?俺たちも行って良い?」 「部活あるんじゃないの?」 「この間の試合で負けて引退したんだよ」 「それじゃ、他も誘おっか。これから行ける日も減るだろうしさ」 楽しい放課後の会話。 俺には関係ない世界。 教室にまだ残っているクラスメイトに、カラオケ組が声をかけていく。 カラオケ行こうと言い出した足立さんが、黒板の清掃をしている俺の側に来た。 「新崎君は……」 「あ、新崎は今日もバイトだろ?」 足立さんの言葉に被せて藤島が言う。 「ああ」 「こいつさ、七人兄弟で金が無くて、めっちゃバイトしてんだよ」 「そーなんだ。ごめん、私知らなくて」 「いや、気にしないで」
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