星花の話

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星花の話

 私は大学1年になった。 医学部を選考した。医者になりたかったから。 女医になってママのようなお母さんを助ける。 だから心臓外科医を目指した。 心臓で私のママの様に、難産で命を落とさない様に。  生まれる子供はどうやって、パパとママを選ぶのだろう。 ママは私をこの世に、生まれさせてくれた。 その選択は、辛さと(うれ)しさになって私を包んだ。 大きくなるにつれ、その思いはどんどん大きくなる。            ##  卒業して研修期間を追えたら、私は医者になる。 インターン生を得て、自分の道を選ぶ。 目指すは心臓外科。一番難しいのも分かってる。 男性と違い女医の、権限も低い。 だからこそ、勉強して研修し、あるいは他の病院へバイトの様に入って、 知識を盗む。研修学校へも行く。 1つでも多くのオペをする。 始めから心臓外科に入れるとは思わない。 狭き門だ。病院内の派閥(はばつ)もある。 だからこそ、腕を(みが)きたい。 そして、誰もが認める女医に成りたい。 お母さんたちに大丈夫よと、言ってあげたい。 家族たちに、母親も子供も安心ですと言いたい。            ##  ママ。星になったママ。 空から星になって、私を見てて。 パパと仲良くしてるよ、おばあちゃんは最近腰が痛いと言うけど元気。 夜は星空を見上げ、眩しい光を見つめる。 遠くで輝く星。 命ある星たち。 私も、その星の名を貰った。 輝きたい。星の様に。 ママの様に。  生まれる赤ちゃんが不安、難産で障害が残れば。 私は居なくなれば・・この子は? そんな不安なお母さんたちの、心の闇を照らす灯台になるの。 いつもそんなママたちを見つめる空の星の光になって、守って見せる。 眩しい星。 いつか、そんな星になれるかな? いや。なれるかじゃなく、なろう。 その為の勉強だ、研修だ。             ##   夜空を見る。あの星はママの星。 いつも動かず、大きく輝くママの星。  それが北極星。ポラリス。 その周りを回る大熊座。北斗七星。 ポラリスは小熊座なんだって。 あらら、親と子が逆転してる。 ママの星を、ポラリスにしちゃった。 でも良いの、ママは一番良く輝いて私を見てるはずだから。      ママ。星になって、いつまでも見てて。 夜空の星が答える。どんな明るい都会でも見れるポラリスはママ。 大丈夫よ、ここから見てるからね。  私は眩しい星の光を(なが)めた。                     END。
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