パパの話。

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パパの話。

 しゅっちょうとか、言うのから。パパが帰った。 「パパお帰りなさい—」 「あー疲れた。はい、(はと)サブレ。」 私んちは大阪。 和歌山のおばあちゃんちから、戻るとパパが帰っていた。  東京に出張に行くと、いつも、鳩サブレのお土産。 「うわーい!おばあちゃん、鳩あぶれを(もら)ったよぉ」 「あぶれじゃなく、サブレ」とパパ。 「どっちでもいい―、パパが帰ってきたもん」 私はパパに、じゃれついた。 その私をはがす様に抱いて、おばあちゃんが言う。 「静かにおし。パパは疲れてるんだよ」 「はーい!」と私。 パパはネクタイをほどき「帰りの高速が渋滞(じゅうたい)してね」と言って、 私の頭をなでなでしてくれた。                      ##  朝に帰るはずが、お昼になってる。 幼稚園でパパまだかな?とずっと、思ってた。 でもお家には、パパが居た。 しがみついた大好きなパパの匂い。 あごのじょりじょりした、お(ひげ)が痛い。 私が嫌がると、パパはおもしろがって余計に(ほお)にじょりじょりする。 「キャーッ(≧∇≦)」 奇声とも歓声とも、付かぬ声。 「いい子で居たか?」と優しい声でパパは言った。
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