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ママの話。
病院で私が生まれる前、ママはパパに言った。
大きなおなかを撫で「きっと、女の子よ」と。
「超音波で、見たのか?それともよく見える4Ⅾ画像?」
4Ⅾはカラーでおなかの赤ちゃんを見れる。
「4Ⅾじゃないわ。でも分かるの。ほしかは女の子だって」
「おいおい、男の子ならどうするんだ?」
「どちらでも、ほしか。私が星になって、ほしかを見れる様に。」
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ママは生まれつき心臓が悪かったらしい。
だから赤ちゃんは無理だろうって言われてた。
でも私は生まれた。
パパが言う。大変な難産だったと。
なんざん?何それ。
おばあちゃんが「命が危ないほど、大変ってことだよ」と言った。
「母さん!」とパパ。
今はそれぐらいにしてと、言うような声で怒声が混じってた。
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大きくなってから後で知った。
私を生めば5分の1で命を落とすと。
心臓が耐えられないのだ。でもママは誓った。
せっかく授かった命だから産むと。
本当なら、子供は望めない身体に、神様が授けてくれたから。
だから私は、星になってこの子を見守るわ。
たとえ死んでもそうする。
泣きながらパパは、ママの最初で最後のわがままをきいた。
ほしかと言う名は、夜だけでなく昼間も一緒にいられるようにと、
付けてくれた名前だ。絶対に名に星を入れてね。
だからパパは女の子の私に、星と花と書いて星花とつけた。
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