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キッチンの電話が鳴り、オーナーがとった。
「はい、ホテル、ロイプリンスです、ご予約ですか?はい、深夜の飲み放題に五名様ですね、カメラですか?どうぞお持ちください、ですが映るかどうかはわかりかねますが宜しいですか?お車はご遠慮願います。お帰りはタクシーをご用意させていただきますので、では、お待ちしております」
フロントではダンとショーンが忙しく動き回っていた。
「シェフ、オーナー、お時間です!」
「さて頑張りますか?」
「頑張りましょう」
前のホテル?
知ったこっちゃないな。
星も取り上げられて、落ちるところまで落ちたらしい。
まあ俺をしたって来てくれた元の同僚がいたんだ、使ってほしいとやってきたが今はまだ保留だ。
なんでって?
そりゃー、今じゃオーナーのロイだけじゃなくて古い住人たちとも面接をしてもらわなくちゃいけないからさ。
まあここだけの話、案外甘いんだけどな。
「何をぶつぶつ言ってるんだ?」
「なんでもない」
何だよーとしつこく聞いてくるロイに創立者が現れたのに、オーナーは君でいいのかなって思ってさ。
「そこは生きてるものが優先だよね、なんて言ったって、このホテルの立て直しには君がいて俺たち生きている者達でここまでやってきたんだからな」
偉そうに言うロイ。
「そうだな」
「さあ、挨拶だけして、早く寝よう」
そうだな、明日のお客様は、なんて話しながら大広間のドアの前に向かったんだ。
ここに来れば幽霊に会えます。ね、エル。
ア~、ただし、いたずらは勘弁してやってくれ。
ここには人のいい幽霊しか来ないからね。
それでも、危ない事をするような奴がいたらこう言ってくれ、ロイのまねをしてな。
「火をつけて何もかも燃やしてしまうぞ!」ってね。
そういうことだ。
肩を組んで二人がやってきました。
多くの客が来始めます。
俺たち従業員が入口に並んだ。
深夜十二時の鐘が鳴った。
「いらっしゃいませ、ようこそ、幽霊ホテル、ロイプリンスへ」
THE END
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