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◇
ーーその三ヶ月後。
自宅の一室の電子ピアノの前で、僕は鍵盤に指を走らせる。ショパンのOp64-2は、つっかえつっかえだけど弾けるようになった。
憂いを帯びた主旋律のまま迎えるそのフィナーレは、わだかまりの溶けきらない今の僕の心そのものだ。
人生はどこまで行っても過去の積み重ね。都合の悪いことだけ消し去れないなのだから、清濁併せ呑むしかないのだろう。
……でも。
いつかはもう一度、華麗なる大円舞曲を弾けるようになりたいと、僕はピアノの前に向かい続ける。
彼女の人生が、健やかで多幸であることを祈りながら。
<了>
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