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◇
「はっ!」
夢の中が真っ黒になると同時に、僕は飛び起きた。
ーーああ、まただ。またこの夢を。
「どうしたの?」
隣で寝ていた妻が、目を擦りながら聞く。
「いや、なんでもないよ。ごめん。」
安堵した妻は、枕元の時計を見て少しだけむくれたような表情をした後、また寝息を立てる。
「本当に、なんでもないんだ……。なんでも……。」
安らかに眠る妻に贖罪するように、僕は心の中で何度も繰り返した。
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