風花が舞う日に

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2年半後 卒業して、私は地元の企業へと就職した。 大きくはないけれど、ゲームアプリなどを作る会社で、曲のアレンジなどをする仕事はとても楽しかったしやりがいもある。 金曜日の夜、そろそろ終わろうかと、パソコンを落とそうとしたところで、後ろから名前を呼ばれる。 「咲良ちゃん、今日の帰り飯でもどう?」 3年先輩の轟さんがにこにこと笑顔を浮かべっていた。 面倒見がよく、優しい轟さんは何かと入社したばかりの私を気遣ってくれる。 食事ぐらい行けばいいと思うし、そろそろ誰かいい人とお付き合いをするべきだとはわかっている。 いまだに、誠真のことをを思い出してしまう私はバカなのかもしれない。 「ありがとうございます。でもすみません。今日は予定があって」 何もないのに、その言葉をすらすらと言っていた自分に嫌気がさした。 誠真がいなくなってからの私は、ずっとこんな感じだ。
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