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「またか。あんなものを見て、何が面白いというのだ」
「別に、面白いと思って見ているわけではありません。ただ、くだらないなと」
「ふっ、見くびっているのだな、あの一座を」
「紅彪林。あれは、顔が甘いだけの男ですね。芸の中身など、大したことはない。自分に酔っているという雰囲気が、ばればれだ」
「……ほう。なら、白藍はどうだ」
「やはり、芋虫の身体に綺麗な顔が付いただけでしょう」
「お前、なかなかに性悪だな」
「今更ですか」
「高延亮は?」
「いつか足を滑らせて、死ぬでしょうね」
「張引」
「それは、認めましょう。なかなかの熟練者と見えます」
「何様のつもりだ、お前は」
「あんなことをしながら、顔で稼いでいる。情けない奴らですよ。全員、妓楼に売られてしまえばいいのに」
「男も、か?」
「男色の野郎どもなら、ここには腐るほどいます」
「そっちの方が、売れるかもな」
「綺麗な顔をした奴らが、汚い男に貪られる。想像だけでも、悪くは無いです」
「……お前、自分の顔を見て……いや」
「今、何と?」
「何も。ああ、そういや、龍翠ってのはどうだ?」
「龍翠」
「そうだ」
「……化け物です、あれは」
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