第三話

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* 「なぜ、助けたのです」 「気に食わなかったか?」 「あなたは、あの芸人どものことが嫌いではなかったのですか?」 「芸人に非は無かろう」 「しかし。銀まであの女に与えるなどと」 「つべこべ言うな。うるさいぞ」 「……」 「田旭」 「はい」 「龍翠という女は、何か違う」 「何か?」 「ああ。興味深い人物だな」 「呂江(りょこう)様が、そう言われるほどの?」 「実際に接してみれば、わかる」 「……へえ」 「お前は、化け物と言っていたがな」 「そうですね」 「興味は、ないか?」 「正直、どうでもいいです」 「……そうか。お前は別のことで、頭がいっぱいだものな」 呂江の言葉には、何も返さなかった。雨の匂いが辺りに漂いはじめているのを、田旭は知らず知らずのうちに感じていた。
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