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支配の魔女と狂想曲
魔女と言ったら、貴方はどんな存在を思い浮かべるだろうか。
箒に乗って空を飛ぶ女性、を思い浮かべる人はきっと少なくないことだろう。某有名な長編アニメーションでも、少女が箒に乗って黒猫を連れ、宅急便をして働くなんて設定がある。それは何故なのか。
元は魔女――Witchの語源は、 Wiccaという賢い女を意味する言葉であったという説がある。ウィッカと呼ばれる女性達は、普通の人々ではわからないような薬の知識が豊富にあり、それがいわば魔法のように見えることもあったのだとか。その特異な知識が奇異なものとして映ったせいで、魔女狩りの標的になることも少なくなったと私はどこかで聞いたことがある。
そんな彼女らは、清潔を保つために箒を使って丁寧に掃除をしていた。その姿が魔法を使う女性のイメージとして強く結びつき、現代までも“魔女は箒で空を飛ぶもの”と強く印象に残ることになったのかもしれない。残念ながらこのへんの歴史は曖昧なところが多いのだ。いかんせん、本物の“魔女”を正しく目で見て、記録した者など誰もいないのだから。ウィッカは賢い薬師達でしかなく、本当に箒で空を飛んだウィッチではないのである。
では、魔女と呼ばれる者は、本当にこの世に存在しないのだろうか。
私ははっきりNOだと宣言したい。なんせ、この眼ではっきりと見たことがあるからだ――魔女、と呼ばれるに相応しい存在を。
ただし、その魔女は空を飛んだり、虹をキャンディーに変えたり、キラキラした不思議な光線が出せたりするような存在ではない。いわゆる“魔法少女”と呼ばれるような、夢のある存在では断じてないのだ。
それでも、彼女は魔女だった。
私が通っていた学校の、同じクラスに――魔女は、存在していたのである。
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