つくりものの反抗

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 確かに普通の人間にしてはいささか美人すぎるというか、見目麗しいというか、傾城であるといっても過言ではないというか、だから今更アンドロイドであると言われてもまあそういう傾向はあったような気がしないでもないが、そうはいってもやっぱりこうした形で発覚するとちょっと茫然とする。  インスタに投稿すべきかと一瞬考えて、すぐに取り消した。  こんなものの写真を撮ったって、ただ謎なだけだ。  あ、そんなことより、今日ミユちゃんのインスタ更新されてんじゃないかしら。  スマホを取り出しかけて、気を取り直した。  そんなことしてる場合じゃないよ。  早く帰って親に聞くべきではないかしら。  私はアンドロイドなの?  答えはイエスだった。両親は泣きながら白状した。  私はアンドロイドなようだ。  ふむ。  まあいいだろう。別にそれを知ったところであまり不便はない。現にこの十七年間、多少容姿がきらびやかな養子ではあるけれど、比較的普通に暮らしてきたのだ。  問題なのはこの歯車がどこの歯車であるかということと、錆びているということだ。この歯車が取れたらヤバいところの歯車だったら、突然私の身に災難が降りかかることになる。しかも、部品が錆びるほど私の体が劣化しているということであれば、これもまた私の寿命が近づいているかもしれないということになる。  アンドロイドの良い所は、メンテナンスさえ怠らなければ割と長持ちするかもしれないところ、つまりいつまでも美しく若々しくいられるかもしれないということじゃないかしら。そんなことが最近読んだ小説の中に書いてあった。  ということで私は、私の製造元にアポを取ることにした。両親に聞けば簡単に教えてくれた。私が送られてくるときに使われた小さな箱は今も大切にとってあった。
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