第十一話「のぼりりゅう」~二月 五夢の告解~

1/12
前へ
/318ページ
次へ

第十一話「のぼりりゅう」~二月 五夢の告解~

 ここは数多町(あまたちょう)の東南の果て、迷宮通(めいきゅうどおり)。  名前の通り迷路みたいに入り組んでいて、迷い込んだらそう簡単には出られない。昼でも夜でも薄暗いったらありゃしない。ぼろぼろの壁に貼りつけられた胡散くさい看板や広告。クセの強すぎる住人達。事故物件と名高い廃屋やあばら家がひしめいている様は圧巻だ。  ここ独特のあやしさが。汚さが。治安の悪さが。  不思議とボクの肌に合っているようで。  気付けば吸い寄せられるみたいにふらふらやってきてしまうのだ。  オカルト大好きなボクを、わくわくさせてくれるこの場所に。   数多町七十刈探偵舎   第十一話『のぼりりゅう』
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

430人が本棚に入れています
本棚に追加