第十四話「まよです」~猫とシールと認識汚染~

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「――『窃視(せっし)』の呪、ですって!?」 「カピそれ(マジ)? けどセッシって何?」 「覗き見のことだよ、五夢(いつむ)」  ぼくと五夢(いつむ)は、体調不良のことも忘れて跳ね起きた。いつの間にか億良(おくら)も先生の傍に寄り添っている。一気に緊迫した空気が流れる。 「……えぇ。  一見崩してあって分かりづらいですがの紋様の中に印が巧みに仕組まれています。呪として成立しうるで組んである。呪を熟知している者の仕業です。  術者が『視たい』と望めば、近辺に居る者から吸った生命力を使って、に描かれた目を通して周りの光景を『視る』ことが出来る。 「じゃあ、メメメシールが世の中のみんなに広まってしまえば――」 「……えぇ。このを仕掛けた術者の、視える景色が増えていく、というわけです。さながら拡散する監視ですね」 「うげっ、何それえげつねーな……」    途方もない悪意に、肌がぞわりと粟立つ。  『メメメシール』は『マジナイチャンネル』の公式グッズだ。  どんな人間が――何の為に。  『マジナイチャンネル』って一体なんなんだ。 「……先生。実は先程『マジナイチャンネル』のスクリーンショットを手に入れたので、お見せしようと思っていたんです――」  オカ研のメンバーに撮らせてもらったスクリーンショットの画像をお見せする。カラフルな手袋を嵌めた手。白い紙に書きつけられた――夢を縛って生霊を飛ばす、呪符。  万世(まよ)先生の横顔が、みるみる強張る。  どこか思い詰めたような切羽詰った表情は――以前、先生に骨董市で見つけた虫眼鏡の写真をお見せした時のそれと、とてもよく似ていた。
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