幕間「宣戦布告」~ナソカリインタビュー~

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幕間「宣戦布告」~ナソカリインタビュー~

 数多町七十刈探偵舎  幕間『宣戦布告』  ここは数多町(あまたちょう)、三の筋。  数多(あまた)商店街の中にある、純喫茶『ともしび』。  営業中なのか思わず不安にさせられるような、蔦や木に覆われた年季の入った外装。メニュー表なども一切出していない。カウンター奥に鎮座し新聞を読みふけっているしかめっ面のマスターの存在感が、入りづらさを数割増しにしている。あまり商売っ気の無さそうな店だ。  カウンター席と三つのテーブル席で構成された狭い店内。いかにも古くからの常連らしき客層が目立ち、若造かつ一見客であるぼくらはテーブル席でちょっと浮いていた。  注文したドリンクが無言で運ばれてくる。  甘党のぼく――七五三(しめ) (ミル)のところにはミルクセーキ。そして隣り合って座るぼくの同居人の探偵――七十刈(なそかり) 万世(まよ)先生のところには芳しい香りのするブレンドコーヒー。  最大四人がけのテーブル席でこうして肩を並べて座っているのは、ぼくが個人的に先生の隣に陣取りたかったというのを差し引いても、ちゃんとした理由がある。  の為に向かいの座席を空けてあるのだ。 「うーん、遅いなぁ。中々いらっしゃいませんね……?」 「まぁそのうち来るでしょう」 「待ち合わせ場所と時間、ここで間違いないですよね……?」 「ええ、そのはずですが」  落ち着かないぼくはそわそわと壁に掛けてある年代物の鳩時計を見やる。約束の時間は午後二時。もう既に三十分が過ぎようとしている。 「どうしてでしょう。約束自体を忘れていらっしゃるとか? ひょっとしたらこのお話自体、冷やかしという可能性も――?」 「そのときは、そのときです」  ひとしきりふうふうした後、マイペースにコーヒーを啜っている万世(まよ)先生。この人はちょっとやそっとでは動じない。流石は先生だと感心しながら熱い眼差しを向けていたら、入り口のベルががらんがらんと忙しなく鳴り響き。  ぼくらのがようやく姿を現した。 「あっ。七十刈(なそかり)探偵舎の皆さん! どうもこんにちは。――いやぁ参りましたよ。電車の遅延に運悪く巻き込まれてしまいましてねぇ」
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