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第一話「なぞのはじまり」~迷宮通の探偵舎~
ここは数多町の東南の果て――迷宮通。
朝も昼も薄暗い。夜には真っ暗闇になるという。地元の人さえ迂闊に寄りつかない。ふつうの人間は暮らせないともっぱら噂の一角だ。
その名の通り入り組んだ迷路のような細い路地。仄かな灯に照らされ追いかけてくるのは自分自身の長い影。時代の移ろいにも、重々しく垂れこめる鮮やかな夕焼けにすら、置いて行かれてしまった通りの、いちばん奥の奥。
数多町迷宮通一番地に、
そこはあった。
数多町七十刈探偵舎 第一話
「なぞのはじまり」
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