お酒

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お酒

「一年目から思ってたけど、この部室寒いよな」  透哉(とうや)が悪態をつく。 「暖房つけてもコレなのは、部室自体の欠陥だと思う」  真矢(しんや)も同意する。 「なんか暖まる方法ないかねぇ」 「得意の筋トレをしたらいいじゃないか」 「俺今日のトレーニングはもう終わったんだよ。そうじゃなくて、なんか疲れないで暖まれる案はないのか!」 「僕に言われてもな……」  そこで真矢にひとつの閃き。 「今日はお互いバイトも無いし、飲みに行くか」 「はっ――! 真矢お前天才だわ」 「なに」  真矢が読みかけの雑誌を透哉に見せる。 「近くに今話題のウイスキー専門店があるらしい。あんまり飲んだことがことがないから、気になってな」 「じゃあ、店はそこにするか! 俺今日バイクで来てるから、一回家に置きに帰るわ。集合はその店な。あとで地図をスマホに送っといてくれ、じゃあな!」  一度にまくし立て、その勢いのまま透哉は部室を飛び出していった。 「なんだ、元気じゃないか」  半ば呆れながら、真矢は帰り支度を済ませ、部室の戸締りをしてウイスキー専門店へ向かう。  部室が寒い問題は解決してないな、と苦笑いしながら。  尚、翌日透哉は二日酔いに苦しむ。
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