猛暑注意

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先輩の部屋を出てしばらく探し回ったけれど、まだ残りの誰も見つけられていない。もしかしたら寮長が全員見つけてしまったかな。健助もさっき戻ったときは居なかったはずだ。 もう一度確認しに行こう、と足を向けたら、ちょうど前から健助と寮長が一緒に歩いてくるのが見えた。 健助はとても不服そうで、寮長はなんだか嬉しそう。 「堰」 「健助、見つけちゃったんですね」 「自分で見つけたかったか?悪いな」 「そんなことは……」 ないこともなくて、濁して答えると健助が寂しそうに呟く。 「俺は見つけてほしかった、侑哉に」 「えっ、ごめん」 犬がしょんぼりした時のように、垂れたしっぽと耳が見えた気がして思わず頭を撫でたら、分かりやすくちょっと機嫌が直った。もっと撫でてほしいとばかりに頭を下げてくるので望み通りにしながら、この体格で今までどこに隠れていたんだろうかと気になった。 「どこに隠れてた?」 「すまんがそれは秘密にするよう言ってある。本来開かずの場所でな」 口を開こうとした健助を遮って、寮長がさらっと余計に気になることを言った。すごく色々聞きたいけれど、教えてくれそうにない雰囲気を察して俺は黙る。なにより、いけないことのようなニュアンスとは逆に、寮長がずっと嬉しそうなのがかえって怖かったから。 「ああ、別に変な意味じゃない」 「……そうですか」 健助のへの字口を見る限りそうは思えないけれど。
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