猛暑注意

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実家で過ごすこと1週間ほど。地元には遊べるような友達も居ないしほとんど家から出ないままだった。なので寮が再開するのと同時にすぐ戻った。 既に部屋には健助が居て、「おかえり」と俺を出迎えてくれる。半年も経たないのにすっかり家よりここの方が落ち着くようになったことに気づく。家が落ち着かないわけでもないんだけれど。 「ただいま。早いね」 「落ち着くから、家より」 「同じこと考えてた」 お互い笑い合って、夏休みが終わるまで穏やかに過ごした。 徐々に寮に人が戻ってくる中で、葉桜が荷物を置く前に俺に会いに来てくれたことがあった。夏休み中にあまり良くないことがあったらしく、玄関前まで迎えに行くと荷物を投げ出して握手(?)を求められた。応じると元気が出たと言っていたけど、一体何があったのかは言いたくなさそうなので聞かなかった。 桐嶋と蕗口は、どうやら始業式直前に到着したらしい。式のために集合した講堂で会った蕗口には閉寮前と同じようにハグをされて、健助に引き剥がされたので周りに「アイドルとオタクと剥がし」と囁かれた。なるほど。ただしアイドルとオタクが逆の立場みたいだ。 桐嶋には教室で会ったけど、真っ黒に日焼けしていて別人かと思った。 「すごい焼けたね」 「無人島にキャンプ行ってた!」 「もしかしてずっと…?」 「そう!」 「台風来てなかった?」 「死ぬかと思った!」 避難間に合わなかったのかな?無事で良かった。
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