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にこやかな桐嶋の斜め後ろで、健助の口が真一文字から緩やかなへの字になるのが見えた。近づいていくにつれ俺の隣、蕗口に対しての反応だと分かったけれど、本人は構わず手を上げて声をかける。
「おー、宗弥」
「……誰だお前」
「えっひでぇな、クラスメイトの蕗口ですけど」
トラブルでもあっての反応かと思ったけれどそういうわけでもないようで、気の無い返事をして、健助は蕗口から俺に向き直った。たぶんだけれど、庇護対象以外には関心が薄いんだと思う。対象の俺と居たから警戒したのかもしれない。
「荷物置きに行くか」
「うん」
2人も到着したところだったらしくまだ荷物を持っていたので、部屋の確認も兼ねてみんなで置きに行くことにした。
俺たちが泊まるのは予想通りのコテージ。木造で2階建てを、9人で貸し切り。中に入ると、リビングダイニングに小さめのキッチンが備え付けられている。映るかは分からないけどテレビもある。とりあえず荷物はこの部屋に固めて置いた。
「テンション上がるなあ!堰!」
「そうだね。こういうの憧れたな」
桐嶋にこっち、こっち、と各部屋で呼ばれて2人で見て回った。2階に洋室と和室が一部屋ずつあり、トイレとシャワールームも別で完備されている。良かった、とても過ごしやすそう。
そうしていると一緒に過ごす他のメンバーが合流したので、軽く挨拶をしてからみんなで集合場所へと向かった。
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