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篤(あつし)のアパート
●篤(あつし)の部屋
カタカタ、カタ、カタカタカタ……
SE・パソコンのキーボードのタイプ音が部屋の中で響いている⚠️次のセリフの最後までタイプ音続ける。
(篤のモノローグ)
……以上がライターとしての私の意見です。
最後に蛇足ながら、私の考えを少しだけ述べて結びに変えたいと思います。
私はいわゆるロストジェネレーションど真ん中世代です。小学生高学年あたりから「これからは個性の時代だ!」というスローガンが力を増してきて、経済は右肩上がり。大学進学率も高く、私もそれなりに楽しい学生生活を過ごせたと思います。ところがみなさん知っての通り、社会に出る頃には未曾有の大不況でした。熾烈な競争を経て就職した途端、即戦力であることを期待され、研修もほどほどにいきなり現場に投げ込まれる、という経験を我々世代の多くの人々が直面して来たのではないでしょうか?その時代から今まで生きてきて何度となく感じてきたことのひとつに、ロスジェネ世代は本当に結束する事がヘタクソだなという実感です。ロスジェネ世代はある意味で自分の同意なく社会や共同体から、不合理な掟やルールを強制されていた最後の世代だったのかも知れません。それゆえか我々世代はいびつな個人主義の影響もあって、結束したり社会を形成したり、という流れに対して極端に冷淡でシニカルな対応をする傾向があると思います。私自身もそうでした。社会性の忌避やそれに対する侮蔑の感情こそ我々世代の大きな宿題でしたし、それに対してそれぞれ自分なりの解答を与えられない限り、引きこもりなどの問題は解決出来ないだろうと思います。私自身も、我々世代の宿題を我々世代の手で解決、あるいは解消出来るよう微力ながら力を尽くしていきたいと思います。
篤「ライター宮下……と。
ふ〜……やっと終わった」
(篤のモノローグ)
おれの名前は宮下篤(みやしたあつし)。
自宅が職場のフリーライターだ。
篤「さて! 今夜は飲むぞ〜!」
SE・篤が鼻唄を歌いながらお茶を入れる音
(篤のモノローグ)
主にネット記事を中心に活動している。
医療、福祉、介護が主な担当だ。
以前はわずかな依頼に飛びついてライター稼業を続けていたが、現在ではWEBライターをはじめ、ブログライターなどの新たな需要の高まりを受けて、記事の依頼数は格段に増え続けている。
SE・篤がお茶をすする音
篤「あ〜、うま。4時か……夜までまだ時間あるな……ちょっと公園にでも行ってみるか」
SE・ドアを開ける音
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