焼き鳥屋(会食)

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焼き鳥屋(会食)

●焼き鳥屋・店内 SE・引き戸を開ける音   篤「あ〜!もう飲もう、飲もう!     飲まなきゃやってられねーよ」  店主「ははは、なんにします?」   篤「とりあえず、生2つ!と……焼き鳥     適当に見繕ってもらえる?」  店主「わりとすぐ出来ますよ!」   篤「助かるわ。     まあ、おじさん、そんなとこに     突っ立ってないで。座って、座って」 祝い人「ふむ……」   篤「なに?……ん?え?あ〜!     どうぞ、どうぞ。     こちらの上座に」 祝い人「うむ」   篤「そうか。それじゃあ、     追加で日本酒お願い!」  店主「じゃ、最初に日本酒を……と。     どうぞ!」   篤「おう!……と。     ま、おじさん     まずは一杯」 祝い人「うむ……」   篤「あれ?」 祝い人「いかがした?」   篤「それ……なんてったっけ?     え〜と……、あれ!あれ!     ……黒曜石だ!」  店主「洒落たアクセサリーですね」   篤「それさ、昔、歴史の教科書に載って     なかった?ほら、磨製石器とか     打製石器とかって」  店主「ありましたね〜」   篤「それでおれも欲しくてさ〜     おれも持ってなかったっけ?」  店主「まあ、宮下さんもどうぞ」   篤「お、こりゃ、どうも」 ○お猪口を空にする篤   篤「ふ〜、うまい。     にしても、この店の焼き鳥     美味しいのになんでお客さん少ない     の?」  店主「いや〜、じいさんから     受け継いだ店なんですけど、     なかなか……」   篤「親父さんは?」  店主「サラリーマンなんですよ」   篤「へ〜、一代飛ばして受け継いだ     んだ」  店主「親父、ずっと営業やってて、    『おまえは客商売向いてない』     ってずっと反対されてたんです     けど……、じいさんが店畳むの     見てるのなんだか忍びなくて……」   篤「味はじいさん譲りってわけか〜」  店主「仕入れ先にはこだわってました     からね」   篤「タレの味もすごいいいんだよな。     チェーン店は、どこも似たような     味つけだしさ……そりゃ、品数じゃ     ……」 祝い人「あ〜、コホン!」   篤「あ、ごめん、ごめん。     そうだ!おじさん、なんか食べたい     ものない?お礼に好きなもの食べて     よ」 祝い人「ほう……では、味噌を」   篤「みそ?味噌が食べたいの?」 祝い人「うむ……」   篤「おじさん変わってるな〜。     ……んじゃあ……、そうだな。     味噌汁。大盛りで!それと…… もろきゅう!味噌特盛りで!     お願い出来るかな?」  店主「大丈夫ですよ。     なんなら味噌単品でも……」   篤「いや、そりゃ悪いよ」  店主「ま、とりあえずは焼き鳥を。     どうぞ。盛り合わせです!」   篤「おお!来た!おじさん!     食べて。食べて。さぁさ!     あったかいうちに!」 祝い人「では、いただこう……」 ○肉を食べる祝い人   篤「えらい上品な食べ方だな〜。     痩せてるから、さぞお腹空かして     ると思ったのに」 祝い人「うむ。誠に結構な味である」  店主「はい。こちら味噌汁大盛りと     もろきゅう、味噌特盛りです」 祝い人「おおおおおおおおお!」   篤「わ!なんだ?どうした?     ……ん?扇子?」  店主「扇いでる……」 祝い人「うむ。うむ、うむ……。     この香り……。申し分無い。     食べても……よいかの?」   篤「え?ああ!どうぞ。どうぞ」 ○味噌汁をすする音 祝い人「んめ!うんめな〜!     あ〜、こりゃ、うめ!」   篤「え?」 祝い人「は〜……。ばり!ばり!     ぼり、ぼり、ぼり、ぼり……。     あ〜、たまんねな!こりゃ     こでらんね!あ〜、うめ!」   篤「ええええええ!」  店主「あはははは。     追加の焼き鳥です」   篤「ああ……」  店主「もろきゅうと味噌汁、     追加しますか?このメニューで     こんな食べっぷりの人     初めてですよ!」   篤「とりあえず……好きなだけ」  店主「はい!」
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