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結び
●焼き鳥屋・店内
店主「……宮下さん、宮下さん!」
篤「……ん?あれ?オレ寝てた?」
店主「あの、そろそろ看板です……」
篤「ああ、ごめん。あれ?おじさん
は?」
店主「おじさん?」
篤「うん。おじさん」
店主「え?」
篤「だから!
ホームレスのおじさん!」
店主「何言ってるんですか?」
篤「味噌汁ともろきゅう、美味しそうに
食べてたろ〜!?」
店主「もう〜!宮下さん、飲み過ぎです
よ。続きは帰って家の中で見て
くださいよ」
篤「何言ってんだよ……」
店主「お勘定……」
篤「はいはい!」
店主「あれ?」
篤「思い出した?」
店主「なんだ!宮下さん、本当は立てる
んじゃないですか」
篤「え?あれ?」
店主「あ〜……」
篤「痛くない……あれ?あれ?」
店主「たしか来店2度目でしたね?
その杖、カムフラージュだった
んでしょ?」
篤「ばかやろ」
店主「お勘定。お願いしますよ。
まったく……。人が悪いな〜」
篤「どーなってんだよ……あれ!」
店主「今度はなんです?」
篤「いや、お札が……」
店主「泥棒ですか!?」
篤「いや……お札がぎっしり入ってて」
店主「へ?……寝てる間にお金を盗られる
って話はよく聞きますけど、
増えてるって話は初めてですね」
篤「うそだろ……?」
店主「うそだろって……あ!」
篤「思い出した?さっきのおじさん!」
店主「宮下さん、たしか文筆業って言って
ましたね。そうやってこの焼き鳥屋
ネタに使おうとしてるんじゃない
ですか?図星でしょ?」
篤「え?いや、でも……それいいな。
ま、とりあえず……」
店主「毎度ありがとうございます!
え〜と……」
篤「ああ、お釣りはいらない」
店主「え?」
篤「お裾分け」
店主「あ〜……この顔が見たかったと
か……でも、嬉しいです!
良かったらこの店のことほんとに
書いてくださいよ!」
篤「そうさせてもらう」
店主「待ってますんで」
篤「今夜の全貌知ったら、目玉が
飛び出るぜ?」
店主「楽しみにしてますよ」
篤「……んじゃ、ごちそうさん!」
店主「ありがとうございました!
またいらしてください!」
篤「それじゃ」
SE・戸が開く音
店主「……っと。ふ〜……あの人、劇団の
芝居でも書いてんのかな〜?
あ〜……ここで休むと動けなくなる
からな〜。おし!早いとこ明日の
仕込み終わらせるか!……あれ?
なんでこんなに味噌が減ってるん
だろ?
あれ?あれ?おっかし〜な〜……」
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