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プロフィール
「これがクジラ?!」
トオル君が悲鳴を飲み込んで、声を押し殺した。
「でかすぎる・・。」ヒロシ君の声が僕の後ろで聞こえた。
「クジラというか・・・バカでかいワニじゃないのか?」
僕は体も声も勝手に震えるのを感じた。
一斉に八艘の木をくりぬいただけのボートが、
この化け物のような生き物を取り囲む。
先頭は村の長だ。
五メートルほどの長い木の棒先に、黒曜石を削った鉾のようなものを取り付け
枝の反対側には、木の繊維を編み込んでロープ状にしたものを、
後ろの四人で握りしめている。
僕の前の舳先にはイサが、少し短い鉾で化け物を狙っている。
「無茶だよ・・。ボートが小さすぎるよ・・。」
トオル君が泣き声をだした。
僕らも力を込めて、イサの握る鉾に繋がったロープを握りしめた。
なんで僕らがこんな無謀な事をしているかって?
そもそもは担任の石川先生のお話かな。
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