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「やっと、笑ったね。さっきから、難しい顔ばかりだったから」
「…忘れられないんだ」
小皿から鍋の具材をつかむのをやめて、右手で箸をおいて、下に俯いた。
「…あの女はいないんだよ。何年も探してもいなかったんだ」
「分かってる」
「はあ。僕近所の人に聞いてみるから。本当にいなかったら、記憶の片隅に置いて」
健斗はしょぼくれていた俺をみかねて、雪乃を探してくれる手伝いをしてくれると言ってくれた。
「…ありがとな」
俺は健斗にお礼を言って、俺たちはまた鍋を黙々と食べ始めた。
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