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「やあ、ギョヌエさん。今日も鮮やかな桃色が魅力的だね」
「そういうギョラオさんも、透き通るような青色がクールでステキよ」
闇に染まった海底で、ゆらゆらと漂いながら互いの光に惹かれ合う二匹の深海魚。
姿はハッキリ見えなくても、片方がオスで片方がメスである以上、どちらも好意を寄せるには十分でした。
と、そこへ、
「いないいなーい……」
二匹とは別の方向から声が聞こえた。かと思えば、
「ばあ!」
突然、まばゆい光が闇を照らし、スポットライトをあてたように二匹の深海魚の姿を浮かび出しました。
一匹は窪んだ目に突き出たアゴ。口にはびっしりトゲトゲの歯がびっしり生えています。もう一匹は下ぶくれの顔にタラコくちびる。魚というより人の顔に近い。そんなインパクト抜群なお互いの姿を初めて目撃した二匹の深海魚は、
「うわああああ!?」
「ば、ばけものーーっ!」
尾びれを返して慌てて逃げていくのでした。
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