お母さんの思い

2/2
前へ
/8ページ
次へ
怖くなった。 詩亜がそんなことをしてしまうんじゃないかって。 今まで暴力をふるってきたくせに、そんなことを思うなんて、白々しいにも程がある。 でも、怖かった。 だから私は、これからは暴力をふるわない、そう決めた。 できるかどうかはわからない。 私のココロが、ふるいたがるから。 でも、詩亜に今までのこと謝って、謝って、大事にする。 許してもらえるわけないと思うけど、とにかく詩亜を失いたくない。 そう決心し、夫の所へと向かった。 私は、夫に話した。 暴力を頑張ってやめることを。 一緒に謝ってほしいことを。 暴言を吐ないでほしいということを。 すると、夫もそう思っていたみたいで、頑張ろう、と言ってくれた。 やめられないかもしれない、けど、やめたい。 今まで目を背けてきた事実に、立ち向かう。 詩亜が帰ってくるのを、夫と一緒に待った。 けど、詩亜はまだ帰ってこない。 もう日が傾いている。 あの事を思い出して、怖くなった。 急いで外に出ようとする。 玄関に行ったその時。 扉が開いて、詩亜が帰ってきた──。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加