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怖くなった。
詩亜がそんなことをしてしまうんじゃないかって。
今まで暴力をふるってきたくせに、そんなことを思うなんて、白々しいにも程がある。
でも、怖かった。
だから私は、これからは暴力をふるわない、そう決めた。
できるかどうかはわからない。
私のココロが、ふるいたがるから。
でも、詩亜に今までのこと謝って、謝って、大事にする。
許してもらえるわけないと思うけど、とにかく詩亜を失いたくない。
そう決心し、夫の所へと向かった。
私は、夫に話した。
暴力を頑張ってやめることを。
一緒に謝ってほしいことを。
暴言を吐ないでほしいということを。
すると、夫もそう思っていたみたいで、頑張ろう、と言ってくれた。
やめられないかもしれない、けど、やめたい。
今まで目を背けてきた事実に、立ち向かう。
詩亜が帰ってくるのを、夫と一緒に待った。
けど、詩亜はまだ帰ってこない。
もう日が傾いている。
あの事を思い出して、怖くなった。
急いで外に出ようとする。
玄関に行ったその時。
扉が開いて、詩亜が帰ってきた──。
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