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プロローグ 罠と餌
2021年1月1日、午前0時15分。
新しい年が明けてわずかが過ぎた頃、私は愛知の自宅のリビングのソファに寝転がりながら、これから始める壮大な“計画”について考えていた。
それは単なる“ゲーム”にしては相当悪質だった。ただ私が描いたシナリオ通りに彼らが動いてくれたとすれば、私は想像以上の快感を得られるかもしれない。
私はノートパソコンを起動させ、事前に用意しておいた「罠」を仕掛けた。それは彼ら6人をおびき出すための必然のツールに、ちょっとした細工を施したもの。
もう一つ重要なのは彼らを破滅へと誘うための、言わば「餌」だ。
彼らは私が仕掛けた「罠」にまんまとはまり、与えられた「餌」に釣られ、愚かな争いを繰り広げるだろう。そしてその後のストーリーも想定していて、彼らにおあつらえ向きな「舞台」ももう用意してある。
そう。これは私が考案した、“絶望ゲーム”。虚無の日常に最高の刺激を与えてくれるもの。
始まったら、もう後に引くことはできないだろう。だが後悔など全くない。
ふと窓を開けて外を見た。冬の夜に綺麗な星空が見えた。ツールに施した「罠」の内容には相応しい季節と景色だった。
私は今回の“ゲーム”のハンドルネームを、自身の星に対する興味から『カノープス』と名乗ることにした。
『カノープス』はりゅうこつ座のアルファ星で、太陽を除くと全天で2番目に明るい恒星である。私は星の中でこれが一番好きだった。
私はこの“ゲーム”に全てをかける決意をした。
思わず、笑みが溢れる。
集まった彼らが、困惑と絶望の表情を浮かべる姿を想像して。
自信に満ちた私はパソコンの前で、キャストたちが出揃うのをしばし待つことにした。
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