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chapter1 それぞれの絶望
1
2021年1月1日、午前1時、東京。
俺は1人デスクトップの前に座りながら、今後の人生を悲観していた。
まずは今の気分だ。新しい年が明けたというのに、ひどく憂鬱だった。
--死にたい--。
何度も心の底から吐いたその悲痛な言葉。
その希死念慮と呼ばれる感情は、俺にいつから植え付けられたのだろうというくらい、記憶が曖昧だ。
俺の名前は神原竜樹、22歳。職業、無職。末期のうつ病持ちで、何の目標もなく孤独に生きていた。
俺は少なくとも中学生の頃からはうつ病で、希死念慮はそれ以前から確かあったはず。その頃から何をするにも意味を感じなかったり、長生きなどもってのほかでできるだけ若く死にたいと自然に思うようになっていた。
俺にとっては“死”という概念だけが希望で、生きることは地獄だった。
その“死”への想いはいつしか“自殺願望”へと発展し、自分の終わりは自分でつけたいという考えに固定された。
最近ではその症状が更に悪化し、昨年1年間はほぼ毎日のように自殺を考えずにはいられなかった。
友達も恋人もいない、趣味もロクにない。
自分には本当に何もない、虚無だ。
もう全てどうでもいい、早く終わってくれ、いっそ楽になりたい。この世に未練など微塵も…。
ずっとこの虚しい感情のループである。考えることすらバカバカしくなるが、負の感情が絶え間なく湧き上がってくるのが末期うつ病の症状なのだ。
俺は耐えきれずに、デスクトップの電源を入れ、いつも使っているメンタル系交流サイトにアクセスした。
そのサイトは『シャウトボイス』と呼ばれ、精神疾患を患っている者の間では有名で、日々彼らの心の"叫び声”が掲示板に投稿されている。
『シャウトボイス』にはチャット機能も搭載されており、見知らぬ者同士でリアルタイムに語り合うことも可能だ。
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