chapter1  それぞれの絶望

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サイトの掲示板を見てみると、新年早々利用者たちの病んでいる発言がずらっと並んでいた。 「もう死にたい」 「マジもう無理」 「こんな人生終わりにしよう」 理由は様々だろうが、死や自殺を連想させる叫びで(あふ)れている。 --みんな色々あんだな--。 俺は症状が辛かったりひどく落ち込んだ時、同じような他人の苦しみの書き込みを見て心がふと安堵(あんど)する。 この苦悩は自分だけではない、そこに至った原因は違えど同じ想いをしている人は世の中に沢山いる。『シャウトボイス』はそういった共存意識を少しの間でも感じさせてくれる頼みのツールだった。 俺はチャットの方を覗いてみた。 チャットにはいくつかの部屋があり、年齢や趣味で複数に分かれている。 どの部屋に入ろうか検索していると、ある部屋に何やら気になる誘い文句のようなものが書かれていた。 「自殺を考えている方必見!辛い現実を変えてみませんか?今すぐ死ぬなんてもったいないです。ここはみんなの溜まり場。好きに語り合って下さい!」 今まで何度かチャットをやってきたが、こんな怪しげな文章は無かったはずだ。 明らかに怪しかったが、ちょうど今死にたい感情が増幅していたし、ヤバかったら退室すればいい。妙に興味をそそられ、軽い気持ちで俺はその部屋へ入室した。 すると、「ようこそ!」という文字が画面に現れ、自動的に「私はこの部屋の管理人の『カノープス』と申します。まずあなたのハンドルネームをお聞かせください」と続けて案内文が出た。 即座にハンドルネームらしき候補名が6つ、一気に羅列した。 『プロキオン』 『シリウス』 『ベテルギウス』 『カペラ』 『カストル』 『ポルックス』
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