chapter6   親愛

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そう言って陽真莉は、俺の肩に顔を乗せてきた。俺は顔を赤らめた。 よく考えれば、恋愛経験の乏しい俺にとっては刺激が強すぎだ。初っ端から頼られるわ、体を張って守るわ、手を引っ張って走り抜くわ…。 これらがたった数時間の間の出来事かと思うと、夢を見ているような気分になる。 「さっきの話で思い出したんだけどさ。明るいっていったら、やっぱり柚葉ちゃんだよね。あの子とは年が近いし、仲良くなれそうな気がする」 「そうだな、若いもんな」 「沙那さんは頼れるお姉さんって感じかな」 「宏文もいいキャラしてるぜ?悠太は落ち着いてたな。…みんな色々あるんだろうけど、いい人達だよ」 「うん。これからも繋がりたい」 俺たちは今日知り合ったばかりのメンバーのことを、古くからの友人のように語った。 少し間を置いてから、陽真莉が神妙な面持ちで切り出した。 「私の話なんだけどね、さっき言ったじゃない?その、自死遺族だって」 俺は一瞬はっとなって、 「うん。最初はびっくりしたけど。その…大変だったな」 と、言いにくそうに彼女の顔を(うかが)った。 「井出崎さんも自死遺族なのね、状況は全然違うけど。彼の過去の話を聞いていた時、なぜか父のことを思い出したの。父は過労自殺だった。私は未だに問い続けてる。あの時、話をもっと聞いてあげてれば救えたんじゃないかって」 陽真莉は少し泣きそうな表情だった。 井出崎も彼女も、父親を自殺で亡くした事実は確かに同様だ。 だが井出崎の父親は、家族を殺した末の身勝手な自決、奴はその父親をずっと恨んでいた。 一方彼女は、父のことが好きで懐いていたそうだ。そんな人を突然失った喪失感は計り知れない。状況がそもそも違いすぎる。 「でもその時、きみはまだ小学生だったんだろ?察するのは難しかったんじゃないかな。病気になったお母さんの看病もやってるんだし、偉いよ」
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