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「井出崎さんの過去にはやっぱり同情するわ。私もあの人のことを憎めないの。あんな形で亡くなってしまったけれど、彼の死を無駄にしないためにも、私たちが精一杯生きていくしかないわね」
陽真莉も、俺と同じく井出崎に恨みはなかった。
「ああ、そうだな」
「あ!『TSUDOI』のグループに通知来てるよ!」
メッセージアプリの『TSUDOI』には、複数で会話できる機能が備わっている。今のグループに、あのチャットで知り合った俺たち6人全員が入っており、日常的に会話を楽しんでいる。
ここで、俺たち6人の近況をお伝えしよう。
まずは、明るさが取り柄の大東柚葉。
最年少の19歳と若く、高校を卒業してからは無職だったが、昔から絵に興味があるらしく、今後はデザインの専門学校に通う予定だ。本人曰く、アニメやゲーム好きで、それらのキャラクターを描くのが今の目標。
次に、柚葉の兄の大東宏文。
建築会社での仕事も忙しく順調で、現場作業にも慣れてきた。仕事柄体力を使うので、ジムで筋力トレーニングを行うのが現在の日課。
宏文と柚葉の関係は一層深まっているようで、俺と陽真莉も焼きもちを妬くほどのラブラブさ。彼らが離れ離れになることは、きっとないだろう。
シングルマザーの深山沙那。
スーパーでのパートを続けながら、娘の凛の子育てに家事と、相変わらず忙しい日々を送っている。最近の趣味は映画鑑賞で、感動する作品を見て涙することがストレス発散になるという。見た目に気を使っていて、美容にも興味がある。
小説家志望の川根悠太。
星知から帰ったあとすぐに、死をテーマにした小説を書き続け、もうすぐ完成だという。
ただ作家では食っていけそうもないので、豊富な知識を活かし、他にウェブ上で文章を書く仕事を探している。
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