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1.美知恵と林檎Ⅰ
私には年下の知り合いの子がいたのですが、
その子のご両親が交通事故に遭ってしまった事で
亡くなられたので私が引き取る事にしたのです。
知り合いの子を引き取る事はぜんぜん問題
ありませんけど、その子にとって私は親として
見てもらう事が出来るのでしょうか。
私のお名前は青峰美知恵で年齢25歳、
青峰家のご令嬢です。
知り合いの子のお名前が青葉林檎で
年齢20歳なんですが、職業が無職です。
ご両親が亡くなられてつらいとは思うのでお仕事が
出来ないというのは納得致します。
しかし、お仕事についてもいいように私が成長させて
いこうかと思っているのです。
青葉林檎は私の家で今は暮らしているのですけれど、
なかなかお喋りをしてくれないので大変です。
私は素直でいい子なので気に入っているのですけど、
青葉林檎の方は私の事をどう思っているのでしょうか。
私にとってはお気に入りの娘みたいなものでしっかりと
成長させて困らないようにしてあげたいです。
青葉林檎が居るお部屋に行こうとしていますが、果たして
行っていいのか、行ってはいけないのか、どっちなのかも
わからない状況です。
せっかくですので青葉林檎とお話をするために私は青葉林檎が
居るお部屋へと行く事に致します。
青葉林檎が居るお部屋の前に到着するものの、どうして
こんなにも緊張しているのでしょうか。
心臓の鼓動が早くて緊張しているというのはわかるけど、
知り合いの子なのに緊張するなんておかしいですよね。
さて、私はドアをノックすると
「青葉林檎…………いますか?…………」
しかし、お部屋の中からお返事がありません。
これはどういう事なのかなって思っているとお部屋の中から
呻き声みたいなのが聞こえてきます。
まさか、青葉林檎は死のうとしているのではないでしょうか。
そんな私はドアを開けてお部屋の中へ入ると、青葉林檎が
死のうとしている所を目撃します。
急いで青葉林檎の所へ行くと、私は死なせるわけにはいかないので
すぐに止める事に致します。
なんとか死のうとしている所を止める事は出来ましたが、
どうしてこうなったのかは知りません。
きちんとお話をした方が宜しいような気がします。
「青葉林檎、どうして死のうとしたの?」
青葉林檎はこちらに振り向いてこう言ってくるのでした。
「両親もいないのに生きててもしょうがないからよ」
「なんでそんな事を言うのよ」
「貴方じゃ、私の親にはなれないの!」
「いい加減にしなさい!」
「ひぃ」
私が怒鳴り散らしたせいで青葉林檎は怯えていますが、
それでも私の方を向いてくれているのでお話は出来そうではあります。
「青葉林檎」
「いちいちフルネームで呼ばなくていいよ、林檎って呼んで」
「林檎、親にはなれないかもしれないけど、それでも私には
頼って欲しいの。貴方にとって私は大切なの」
「親でもないのに大切っておかしいでしょ」
「おかしくないよ、林檎にとって私は頼られる存在になりたいのね」
「……………………」
林檎は急に黙ってしまってどうしたのかと心の中で思っていると、
いきなり林檎がお話をしてくるのです。
「貴方が頼られる存在になりたいですって、何を馬鹿な事を言っているの。
親にもなれないのに頭がどうかしているのね」
「なっ、年上の人に対してそういう事を言うのね、いい度胸じゃない」
「貴方に何て頼りたくないし、親とも思いたくない」
「林檎、言っていい事と悪い事があるのにわからないのね。これだから
若い子って嫌いなのよ」
「美知恵さんの馬鹿」
「私の事を馬鹿呼ばわりなんてひどいわね」
「ひどくありません」
「喧嘩でもしたいのかしらね」
「美知恵さんってお胸も大きいし、お尻も大きいよね」
「セクハラですね」
「セクハラって何を言っているのか、私にはわからないし、
セクハラじゃありません」
「セクハラじゃなければ何なのよ」
「ガールズラブよ」
「ラブって私と林檎は愛し合ってないじゃない」
「それもそうよね、でもこれから愛し合うのよ」
「出来るものならしてみなさいよ」
「美知恵さん、そうさせてもらいますね」
どうせ林檎には何も出来ないと私は思いますが、
万が一って事もありますので油断は出来ません。
それにしても愛し合うって意味をよくわかっているのか、
それともわかってないのか、どっちにしても
愛せるものなら愛して欲しいわね。
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