本能寺の変

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 ──まるで、昼のようだ……。  光秀が去った後、腹を切った信長は薄れゆく意識の中、そんな呑気なことを考えていた。  それにしたって、本当に明るい。  見えないものなど何もないくらいだ。 「……皆の見る世界が、こんな風に明るくなるといいのだがな……」  自分が死ぬことによって、本当に自分の夢が叶えられる事になるのか分からない。  しかし、きっとこの先の事は光秀が、そして次に天下を治める者がしっかりとやってくれるだろう。  この炎の輝きに照らされた本能寺の中のような、明るい世の中になるはずだ。 「人間五十年。下天のうちをくらぶれば、夢、幻のごとくなり」  信長は炎の中に、皆が肩を寄せ合い、笑い合う姿を見た。  ──しかし、それは幻。  自分は決して見ることのない世界。  その輝く未来をこの目で見れたらどれだけ良かっただろうか──……。 「……日ノ本の未来に、光あれぃ」  信長はそれを最期に、意識を手離した。
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