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「瀬戸くん、電車通学?」
「うん」
「駅どこ?」
「木崎」
「わっ、うちと一駅違いだよ! 近かったんだね」
「へえ」
今日は6限までだった。上を見上げると、散り始めてる桜の奥にはオレンジが混ざり始めた青空が覗いていてとても綺麗。
それにしても、瀬戸くんの言葉がさっきから棒読みだ。でも私は気づかないふりをして続ける。
「桜、綺麗だね」
「ね、君、どういうつもり?」
「えっ?」
瀬戸くんは痺れを切らしたように突然足を止めると、桜の景色を背景に、不機嫌さを隠すことなく私を見据えた。その整った顔立ちに、私は少し気後れする。
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