1 君と呼ぶひと

16/29
前へ
/314ページ
次へ
「知ってるでしょう? 私が学校でどんな風に言われてるか。あんなふうに意見言ってくれたのは瀬戸くんだけなの。ちゃんと見てくれたってことでしょう? だからありがとう」 私の言葉に、瀬戸くんは一重の目を丸くしてから、またスタスタと歩き出した。 慌てて追いついて、半歩後ろを歩く。 「僕は人の噂には興味無いから」 「それは良かった。仲良くしてね」 「……変な人だな」 「ふふっ、瀬戸くんこそ」 瀬戸くんの呆れたようなため息に不思議と落ち着いて、私は久しぶりに自然に笑えていた。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加