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「すみません、ピックください」
学校の最寄りの桜駅から一駅目の太田駅。
素っ気ない瀬戸くんに手を振り電車を降りて、駅前の商店街を抜けた先にひっそりとあるこじんまりとした楽器屋さんへ来た。1人で来るのは初めてなので選び方が分からず、初めから店員さんに頼むことにした。
見覚えのある緑のアフロヘアのファンキーなお兄さんが、レジの奥からぬっと現われて少し緊張する。
「はいよーアコギ?」
フランクな感じにほっとしたものの、その質問に首を傾げる私に、お兄さんまで首を傾げた。
「えっ? お姉ちゃんギターは持ってるんだよね?」
「あっ、はい。貰い物なんですけど……」
「まさかエレキギターじゃないでしょ?」
「あ、はい! アコギです」
やっと質問の意味が分かって慌てて答えた。
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